2016 東京藝術大学 彫刻科 合格者インタビュー2
今年見事、東京芸術大学彫刻科の現役合格を果たした大野力君です。
自宅がオチャビから遠いながら、入直ではだれよりも朝早く来て頑張っていました。
とにかく、「デッサン力がある」というのが大野君の実技を見た時の印象で、自画像など、素描のおおらかで自然な捉え方は誰よりも抜きん出ていました。
1学期の夜間部合同コンクールでは1位を獲るなど、技巧的な上手さとは違う良さがありました。
現役合格するには、いかに塑造のアドバンテージを埋めるかがカギとなると思いますが、大野君はどうだったのでしょうか。
インタビューに移りましょう。
- 講師
- オチャビの課題でターニングポイントになったものはありましたか?
- 大野君(以下O)
- 公開コンクール(※1)で制作した、円盤投げの首像模刻ですね。そのときはうまくいかなかった。そのすぐ後のコンクールでも円盤を作りましたが、それもダメで、その時に残っていた公開コンクール一位の塑造と見比べて、わかった気がしました。それがきっかけとなって見方が変わり、塑造が上達していきました。素描は安定していたのであまり気にしていませんでした。
石膏デッサンはまだ分かってなかったっていうのがあったんですが、1枚単位で(講師に)言われることが気になって、ムラがありました。気にしていたのは正中(※2)と動き。動きは先ほどの塑造の見方が変わったことがきっかけで意識が高まりました。 - 講師
- 公開コンクールでは、オチャビ以外の学生も多数参加して、とても刺激的でした。1位の作品は、表面にとらわれておらず、立体的なモチーフの追求を実践できていました。素描は安定していたと大野君が言うように、作品の狙いが定まっていると常に見ごたえのある作品になっていました。
- 講師
- 大野君が芸大に合格するために心掛けていたことはありますか?
- O
- とりあえず、目的を持ってひと課題ひと課題やることを意識していました。 まだ(合格レベルに)届いていないっていう実感があって、勉強する気持ちで試験当日も取り組みました。
今年の試験課題のハトをはじめ、大野君は動物の課題を苦手と捉えていたように思います。
模刻と違って動物は動くので、意識的にモチーフを覚え再構成しなければならない難しい課題です。
目的を持って日々を過ごすことで、自分の課題意識を高めていけたのではないでしょうか。
試験当日の「勉強する気持ち」が苦手な課題を合格レベルに引き上げたと言っていいでしょう。
芸大一本のみの受験で、しかも一発でそこまで決めてしまうとは、すごいです!大学に入ってからの作品も楽しみです。
大野君、ありがとうございました。
- 公開コンクール:各予備校で実施されている実技の模擬試験
- 正中:物を二等分するまんなかのところ
DATA
2016年度 彫刻科合格実績
東京藝術大学 彫刻科 2名合格(内現役1名)