2018 東京藝術大学 デザイン科 合格者インタビュー4
今年度、東京藝術大学デザイン科に合格された北原経至さんのインタビューです。
- インタビュアー
- 受験し合格した大学と専攻をすべて教えてください。
- 北原さん
- 東京藝術大学デザイン科一本に絞り受験し、三浪で合格しました。
- インタビュアー
- 御茶美とその他の予備校での違いはありましたか?
- 北原さん
- 御茶美以外では規模の小さい予備校に1年程度所属していました。その経験を元にお話しいたします。
第1に、講師の人間性。
小さな予備校では1人の主任の先生の権力が強く、狭いコミュニティにおける人間関係の難しさがあります。
一方で、御茶美の講師は1人の人間に発言力が傾くことなく公平で、人間的に信頼出来る方々ばかりなので教育空間としてのシステムが優れています。
第2に、生徒の多様性。
小さな予備校では、周囲と同じ行動をしないと浮いてしまうなど、受験に臨む上で本来では不必要な気疲れをしてしまう事があります。
一方で、日本最大手の御茶美では多様なスタイルで受験に臨む生徒が多くいる為、自分が過ごしやすい生活を出来るという利点があります。
第3に、御茶美の柔軟性。
小規模の予備校では、数十年前からカリキュラムや講評の仕方が変わらず古いやり方を続けているという問題点があります。
一方で、御茶美は多くの人間がアイデアを出して講評の仕方や出席の取り方など日常の小さなことまで徐々に改善されていくという点が優れていると感じます。
しかし、御茶美にも問題点があります。
それは参考作品の扱いが厳しく、写真を撮る事が難しいことです。
今後は、作品の制作者が撮影許可を出した作品に限ってはシールを貼るなどして区別し、一部の作品は撮影を許可するなどの改善案が採用されると受験生は喜ぶと思います。 - インタビュアー
- 受験生活の中でどのような事を意識していましたか?
- 北原さん
- 数十年後の自分が後悔しないような今を過ごそうと考え、生活していました。
- インタビュアー
- あなたにとっての浪人生活はどのようなものでしたか?
- 北原さん
- ひとことでは答えられないものでした。
一浪の時は、努力したつもりでしたが、まだまだ余力を残してしまったなと後から反省しました。
二浪の時は、実力がどんどん上昇する事に楽しさを感じつつも絶対に後悔しない1年を過ごすと力み過ぎ、不合格になった時は精神的に追い込まれてしまいました。
三浪の時は、数十年後の自分が後悔しない様な今を過ごそうと意識し生活しましたが、同時に、精神的に追い込み過ぎない様に休息も大事にしつつ過ごしました。 - インタビュアー
- 学科対策はどんな方法でやっていましたか?
- 北原さん
- 御茶美の学科主任の星屋先生に勉強方法と使用教材のアドバイスをもらい、その方針を軸にしつつ、外部予備校の学科模試をペースメーカーとして利用し勉強しました。
- インタビュアー
- 日頃の実技制作中に気を付けていたことはありますか?
- 北原さん
≪デッサン≫
「似せること、それだけに集中」と自分に言い聞かせて、シンプルな感情で制作に臨む様に気をつけていました。
北原さんの石膏デッサン
≪色彩構成≫
「どんな要素でも構わないから、作品の中に『魅力』を作る」という意識で制作に臨みました。
≪立体≫
色彩構成と同様、「どんな要素でも構わないから、作品の中に『魅力』を作る」という意識で制作に臨みました。- インタビュアー
- 試験を終えたときに手ごたえはありましたか?
- 北原さん
- ありました。
- インタビュアー
- 試験本番で成功できた要因は何ですか?
- 北原さん
- 冷静になって制作出来た事だと思います。
具体的には、デッサン・色彩構成・立体のそれぞれにおいて、自分が気をつけるべきポイントを4つ程度に絞り、試験中に焦ってしまった時には手を止め、4つの気をつけるべきポイントを頭の中で暗唱するというルーティンを実行していました。 - インタビュアー
- 受験時代に成長出来たきっかけを聞かせてください。
- 北原さん
- 優れた技術を持った尊敬する先輩が、美術を始めたばかりの時の下手な作品を見せてくれた時は、気が楽になって心理的に前向きになれました。
また、作品を褒められた時の嬉しい感情や、浪人している事を馬鹿にされた時の悔しい感情など、日常の色々な感情を受験に臨む上でのエネルギーにしていました。 - インタビュアー
- 受験時代のつらいエピソードを聞かせてください。
- 北原さん
- 自分は、高校時代に病気になった影響で2年間休学し、同じ学校に通う年下の弟よりも下の学年に復学して高校の3年間を過ごした為、周囲の同い年の仲間より人生の歩みが遅れている事に激しい劣等感を感じていました。
その上、浪人をして弟と同い年かそれ以下の年齢の講師に指導を受けるという状況は、抑えていた自分の劣等感を表出される様な心境で心理的に大きなストレスでした。 - インタビュアー
- 実技上達の為に実践していた事はありますか?
- 北原さん
- 石膏像を買い、自宅で2時間以下の描き出しデッサンを大量に描きました。
- インタビュアー
- 大学生活では何をしたいですか?
- 北原さん
- 時間が許す限り、興味を持った全ての事に挑戦したいです。
北原さんありがとうございました。
DATA
2018年度 芸大デザインコース合格実績
東京藝術大学 デザイン科 28名合格≪定員45名≫(現役8名)
☆合格者数12年連続全国1位☆
☆12年間で335名合格☆